【人生万事塞翁が馬、人事を尽くして天命を待つ】ブレない自分軸で、人生を豊かに生きるためのマインドセット

私たちは皆、人生という名の旅の途中にいます。時には順風満帆、時には嵐に見舞われ、そのたびに感情が揺さぶられるものです。

「あの人は成功しているのに、自分は…」
「もっと周りの評価を得たい」
「誰かが助けてくれるはずだ」

かつての私も、そう考えていました。周りの期待に一喜一憂し、他者との比較に心をすり減らし、自分の軸を見失いがちでした。しかし、ある二つの言葉との出会いが、私の人生観を大きく変えました。

「人生万事塞翁が馬」
「人事を尽くして天命を待つ」

これらの言葉は、私たちに「ブレない自分軸」と「しなやかな強さ」をもたらし、人生をより豊かに生きるための羅針盤となるでしょう。

この記事では、かつての私のように、他者の評価や外部環境に左右されがちだった方へ向けて、これらの言葉が持つ深い意味を掘り下げ、日々の生活にどのように活かしていくべきかを具体的に解説していきます。

1. 人生万事塞翁が馬：目の前の出来事に一喜一憂しない「俯瞰力」を養う

「人生万事塞翁が馬」という言葉は、中国の古い故事に由来します。国境の近くに住む老人の馬が、ある日突然逃げ出してしまいます。周囲の人は老人に同情しますが、老人は「これが福とならないとも限らない」と動じません。しばらくすると、逃げた馬が別の駿馬を連れて帰ってきます。人々はそれを喜びますが、老人は「これが禍とならないとも限らない」と顔色一つ変えません。やがて、老人の息子がその駿馬に乗って落馬し、足の骨を折ってしまいます。人々は再び同情しますが、老人は「これが福とならないとも限らない」とやはり泰然自若。数年後、国境で戦が起こり、若者たちは皆戦場に駆り出されますが、足の骨を折っていた老人の息子は徴兵を免れ、命を救われることになります。

この故事が教えてくれるのは、目の前の出来事が、一時的な幸運や不運に見えても、長い目で見ればそれがどう転じるかは誰にもわからないということです。

1-1. 一時的な感情に流されない「心の広さ」を持つ

私たちは、良いことがあれば喜び、悪いことがあれば落ち込むのが自然な感情です。しかし、「塞翁が馬」の教えは、その感情に深く囚われすぎないことの重要性を説いています。

喜びすぎない: 良いことがあった時、もちろん喜ぶべきですが、それが永遠に続く保証はありません。過度な喜びは、次の不運が訪れた時の落胆を大きくする可能性があります。
落ち込みすぎない: 悪いことがあった時、落ち込むのは当然です。しかし、その出来事が未来にどのような影響を与えるかは、現時点ではわかりません。もしかしたら、その不運が新たな道を開くきっかけとなるかもしれません。

1-2. 「点」ではなく「線」で物事を捉える視点

人生を「点」で捉えると、その点ごとの浮き沈みに一喜一憂してしまいます。しかし、「線」で捉えることで、個々の出来事が連なり、やがて大きな流れとなっていく様子が見えてきます。

例えば、

不採用通知: 「自分はダメだ」と落ち込むかもしれません。しかし、その不採用が、より自分に合った企業との出会いを引き寄せるかもしれません。
人間関係のトラブル: 「なぜ自分ばかり」と嘆くかもしれません。しかし、そのトラブルを乗り越えることで、真の友情や信頼関係を築くきっかけになるかもしれません。
予期せぬ失敗: 「もう終わりだ」と絶望するかもしれません。しかし、その失敗から得た教訓が、将来の大きな成功の礎となるかもしれません。

「塞翁が馬」の視点を持つことで、私たちは目の前の出来事に感情を揺さぶられることなく、より冷静に、そして建設的に物事を捉えることができるようになります。これは、**「俯瞰力（ふかんりょく）」**を養うことにも繋がります。人生という大きな絵を、少し離れたところから眺めるような感覚です。

2. 人事を尽くして天命を待つ：自らの意志で行動し、結果を受け入れる「潔さ」を学ぶ

「人事を尽くして天命を待つ」という言葉は、自分にできる限りの努力を徹底的に行い、その結果については天に任せるという意味です。

これは、無責任に結果を他者に委ねるという意味ではありません。むしろ、その逆です。自らの手でできる限りのことをやり尽くし、それでもなお結果が伴わないのであれば、それは自分の力ではどうにもならない「天命」であると受け入れる、という覚悟と潔さを表しています。

2-1. 「やるべきこと」に集中する力

この言葉の核心は、「やるべきこと」に徹底的に集中することにあります。

目標設定: まず、何を達成したいのかを明確にします。漠然とした目標ではなく、具体的で測定可能な目標を設定しましょう。
計画立案: 目標達成のために、どのようなステップを踏むべきか、具体的な計画を立てます。
行動の徹底: 計画に基づき、一つ一つの行動を丁寧に、そして最大限の努力をもって実行します。

このプロセスにおいて重要なのは、「自分にコントロールできること」と「コントロールできないこと」を明確に区別することです。

例えば、資格試験の勉強であれば、

コントロールできること: 勉強時間、勉強方法、問題集を解く回数、復習の徹底
コントロールできないこと: 試験の難易度、体調（ある程度はコントロールできますが、急な病気など予測不能なこともあります）、他の受験者のレベル

私たちは、「コントロールできること」に全力を注ぐべきです。そして、「コントロールできないこと」については、必要以上に心配したり、悩んだりしないことです。

2-2. 結果への執着を手放す「心の余裕」

「人事を尽くして天命を待つ」という言葉は、結果への執着を手放すことの重要性も教えてくれます。私たちは、努力した分だけ良い結果を期待しがちです。もちろん、それは自然な感情ですが、過度な期待は、結果が伴わなかった時の大きな失望に繋がります。

執着を手放すことで、私たちはより自由になり、心の余裕を持つことができます。

失敗を恐れない: 「やるべきことをやったのだから、たとえ失敗しても後悔はない」という気持ちは、新たな挑戦への原動力となります。
他者の評価に左右されない: 自分の努力は自分自身が一番よく知っています。他者の評価はあくまで参考であり、自分の価値を決定づけるものではありません。
次の行動へスムーズに移行する: 結果がどうであれ、そこで立ち止まることなく、次の行動へとスムーズに移行することができます。

2-3. 「天命」とは何か？

「天命」というと、少し大袈裟に聞こえるかもしれません。しかし、これは決して非科学的なものではなく、**「自分の努力だけではどうにもならない運命や巡り合わせ」**と解釈することができます。

例えば、

予期せぬチャンス: 努力を続けていると、思わぬところからチャンスが舞い込んでくることがあります。
不運な出来事: どれだけ努力しても、どうしても避けられない不運に直面することもあります。
人との出会い: 人生を大きく変えるような出会いは、まさに天命とも言えるでしょう。

「人事を尽くす」ことで、私たちは「天命」を受け入れる準備ができます。そして、たとえそれが望まない結果であったとしても、その中に新たな意味や学びを見出すことができるようになります。

3. かつての自分よ、さようなら！ブレない自分軸を確立するための実践的なステップ

ここまで、「人生万事塞翁が馬」と「人事を尽くして天命を待つ」という二つの言葉の深い意味を解説してきました。ここからは、これらのマインドセットを日常生活に落とし込み、ブレない自分軸を確立するための具体的なステップをご紹介します。

3-1. 自己認識を深める：本当の自分を知る

価値観の明確化: あなたにとって、人生で本当に大切なものは何ですか？家族、仕事、健康、自由、成長…紙に書き出し、優先順位をつけてみましょう。これが、あなたの行動原理の軸となります。
強みと弱みの把握: 自分の得意なこと、苦手なことを客観的に見つめ直しましょう。強みを活かし、弱みは改善するか、あるいは補完する方法を考えます。
感情の観察: どんな時に喜びを感じ、どんな時に怒りや悲しみを感じるのか、自分の感情の動きを意識的に観察してみましょう。感情に流されるのではなく、感情を客観視する練習です。

3-2. 目標設定と計画：具体的な「人事」を定める

SMART原則で目標設定:
1. Specific (具体的): 何を達成したいのか、明確に。
2. Measurable (測定可能): 達成度を測れるように。
3. Achievable (達成可能): 現実的に達成できる範囲で。
4. Relevant (関連性): 自分の価値観や長期目標と関連しているか。
5. Time-bound (期限): いつまでに達成するか、期限を設ける。
逆算思考で計画を立てる: 最終目標から逆算して、今やるべきこと、明日やるべきこと、来週やるべきこと…と具体的なタスクに落とし込みます。
「コントロールできること」に集中する: 計画を立てる際、「自分にコントロールできること」に焦点を当て、それ以外の要素は考慮しすぎないようにしましょう。

3-3. 行動と振り返り：PDCAサイクルを回す

Do (実行): 計画に基づき、全力で行動します。
Check (評価): 行動の結果を客観的に評価します。良かった点、改善すべき点を洗い出します。
Action (改善): 評価に基づいて、次の行動計画を改善します。
Plan (計画): 改善点を踏まえ、新たな計画を立てます。

このPDCAサイクルを回すことで、私たちは常に成長し、より効果的な「人事」を尽くすことができるようになります。

3-4. 感情との向き合い方：塞翁が馬の視点を活用する

ジャーナリング（日記）: 自分の感情や出来事を書き出す習慣をつけましょう。客観的に自分の感情を観察する良い練習になります。
ポジティブな側面を見つける: 困難な状況に直面した時、「この経験から何を学べるだろうか？」「この出来事が将来にどう繋がるだろうか？」と、ポジティブな側面を探す練習をしましょう。
感謝の気持ちを持つ: 当たり前だと思っていることにも感謝する習慣を持つことで、心の豊かさが増し、感情の波に飲まれにくくなります。

3-5. 他者との比較を手放す：「自分は自分」を受け入れる

SNSとの距離: 他者のキラキラした情報に触れることで、無意識のうちに比較してしまうことがあります。SNSとの距離を適切に保ち、自分にとって本当に必要な情報だけを取り入れるようにしましょう。
自己肯定感を高める: 自分の良いところ、頑張っているところを認め、褒めてあげましょう。自己肯定感が高まることで、他者との比較に意味を見出さなくなります。
「人は人、自分は自分」: このシンプルな真理を心に刻みましょう。それぞれが異なる人生の道を歩んでおり、比較すること自体が無意味です。